月経が正しくあるかどうかは女性にとって大切な健康のバロメーターです。まずは正常な月経の4条件を充たしているかどうかをご自分でチェックしてみましょう。
正常な月経の4条件
- 周期は25~38日の範囲
- 量は20~140mlで多い日でもナプキンが2時間以上はもつ
- 持続は3~7日間
- 月経痛はあっても軽度
以上の条件に充たない場合、次に受診をする目安
- 月経が7日以上おくれているときや妊娠に関係なく2ヶ月以上きていない時
- ナプキンが30分ももたない出血や大きな塊をともなう時
- 持続が10日以上つづく時や一度おわったのに再び出血するいわゆる不正出血がある時
- 痛み止めがきかない時やこれに便通時の痛みや不妊を伴う場合
さらに1から4の番号に対してどのような病気が考えられるかについてお話しします。
- 1については妊娠以外では排卵の異常やホルモンバランスの乱れが考えられます。
- ストレスや過度なダイエットなどが影響している場合があります。基礎体温をつけていればグラフにして受診の際に持って行きましょう。基礎体温は変わったことがなくても普段からつける習慣をつけておくことは体調の自己管理をする上で大切です。治療はホルモン検査の結果にあわせてピル療法などのホルモン療法がおこなわれることがあります。
- 2および3では子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が考えられます。
- とくに貧血や不正出血をともなうときは早く受診したほうがいいです。その際はがん検診もあわせて実施されることが多いと思います。治療は年齢や程度によってちがいますが薬や手術が必要となる人もいます。
- 4月経痛がある人は多いと思いますが、年々ひどくなっている方や痛み止めがきかないくらいひどい場合は受診が必要です。
- 病気としては子宮内膜症や子宮腺筋症が考えられます。中には子供ができにくい原因になっている人もいます。これらは原因不明の病気で特に子宮内膜症は成熟女性の10人に1人がかかっているといわれています。晩婚や晩産が要因の一つと考えられています。もともとは20代後半から30代に多い病気と考えられていましたが、最近では10代の若い方にもこの病気が起こっていることがわかってきています。学校や仕事に支障がでるような強い月経痛があるときは勇気を出して診察を受けましょう。
病気を伴った月経異常を器質性月経困難症といい、治療として年齢や症状、子供さんを望んでいるかに応じて、低容量ピルや内膜症専門薬による治療や、場合により内視鏡手術などが行われます。
以上のように月経の状態は女性特有の病気の発見のきっかけとなる大変重要なものです。日頃からチェックを心がけ、心配なことがあれば早めに受診することをお勧めします。
日本は欧米に比べて子宮がん検診などの受診率が非常に低いとされています。日々のセルフチェックに加え、定期的な婦人科検診を受けることがとくに重要です。