不妊症の検査はたくさんあります。
一通りの検査を行い、原因を突き止めることが不妊治療の第一歩となります。
人によっては2つ3つの原因が重なっていることもあり、1つ原因が見つかったからといって安心出来ない場合があります。
そのため一通りの検査を行い全体を見渡す必要性があります。
月経周期のホルモンの変化と検査時期
検査の生理の周期における時期は大きく4つに分かれます。
その他周期と関係なく検査できるものもあります。
基礎体温表内の①~④をクリックして頂きますとそれぞれの時期で受診可能な検査項目へスクロール移動します。
女性ホルモンの流れ
月経1~3日目
- プロラクチン検査(PRL)
- 血液検査で調べます。授乳中に母乳を作るためのホルモンですが、妊娠していない時期に多量に分泌されると、卵胞発育や排卵、月経の乱れに影響します。
- 卵巣刺激ホルモン(FSH)
- 血液検査で調べます。卵胞を発育させるため、脳下垂体から卵巣に分泌されるホルモンです。
- 黄体化ホルモン(LH)
- 血液検査で調べます。卵胞を成熟させ、排卵の指令を出すホルモンです。月経中にFSHの値より高いと、卵の発育が障害されている可能性があります。
卵胞期の検査
- 子宮ファイバースコープ
- 子宮内腔のポリープや筋腫の有無、卵管の入り口の状態を検査します。
- 子宮卵管造影検査
- 月経後3日以内に、ファイバースコープ検査と連続して行います。子宮内にカテーテルを入れて造影剤を注入し、子宮の形や卵管の通過性を確認します。
- 慢性子宮内膜炎検査
- 着床不全や流産の原因の組織検査です。
排卵期の検査
- ヒューナーテスト
- 検査前日または当日朝に性交渉してもらい、検査します。子宮頸管粘膜を採取し、顕微鏡で粘液の質や精子の状態を観察します。
- 卵胞計測
- 経腟プローブという検査器具を使って、卵子が入っている卵胞の大きさを超音波で計測します。
- 卵胞ホルモン検査(E2・LH)
- 血液検査で調べます。卵胞が発育すると分泌されるホルモンで、卵胞の発育状態や排卵時期が分かります。
黄体期の検査
- 黄体ホルモン(PRG)検査
- 血液検査で調べます。排卵後の黄体から分泌されるホルモンです。妊娠を維持させるために内膜環境を整え、高温期を保ちます。
- 子宮内膜症の検査
- 内膜症が疑われる場合、血液検査で腫瘍マーカーを調べます。
- 子宮内膜の厚さ検査
- 経腟プローブという検査器具を使って、子宮内膜の厚さを超音波で計測します。
全身プロファイリング
以下の検査内容は、月経周期に関係なく検査できます。
- 血液一般検査
- 貧血や白血球、血小板の数を調べます。
- 肝腎機能検査
- 肝臓や腎臓の状態が悪いと妊娠できない場合があります。
- 性病検査(自費項目あり)
- クラミジアや梅毒、HIVなどの感染を調べます。
- 甲状腺ホルモン
- 異常があると、不妊や流産の原因になることがあります。
- 子宮内膜症の血液検査
- 血液で内膜症が出来ていないかを検査します。(確定診断ではありません)
- 血液凝固系検査
- 血栓傾向の有無を検査し、不妊や流産しやすい体質かを調べます。
- 抗核抗体
- 免疫異常の検査で、高いと流産の原因になることがあります。
- B型C型ウイルス肝炎検査
- 肝炎の有無を検査します。
- インシュリン/血糖値
- 異常値の場合、着床障害や排卵障害の原因になることがあります。
- 血中ビタミンD
- ビタミンDの不足は着床不全の原因となります。
- 抗精子抗体
- 精子を殺したり、凝固させたりする物質がないか調べます。
- AMH
- 卵巣の予備能力を推察します。
基礎体温表
検査するにあたって月経の周期を知り、ご自分の身体の状態を把握しておくことが大切です。
当院では基礎体温を記録していただく事をおすすめしております。
基礎体温を記録することにより、排卵の有無や、排卵日を推定し、月経がいつごろ始まるかなどが予測することができます。
また、妊娠しているかどうかなどの検査の対象にもなります。
検査の方法は朝目が覚めて起き上がらず寝たまま、婦人体温計で測定してください。
測定が完了したら、忘れずに基礎体温表に記録してください。
基礎体温表ダウンロード