誘発剤を使わず自然排卵に合わせて体外受精を行う方法です。
過去の症例
患者様は県内在住の30才代の女性。重度の排卵障害による不妊に悩んでおりました。
2005年1月に近くの病院を受診、6回にわたり 排卵誘発剤※による治療を受けるも妊娠できず、卵巣過剰刺激症候群とよばれる副作用を発症し治療を中断せざる得ない状況が続いておりました。
2006年6月に当院を紹介され2006年8月に卵巣から未成熟卵子8個を回収いたしました。
そのうち4個を体外培養にて成熟させることに成功しました。
これに顕微授精を施行し2個の受精卵を得ました。一端受精卵を凍結保存し後日、凍結解凍した1個の受精卵を子宮に移植したところ妊娠が成立いたしました。この間の治療による副作用は全く認めておりません。
2007年6月妊娠39週にて女児を紹介病院にてご出産いたしました。現在、母児ともに健康で異常は認められていません。
この方法による出産例は2002年に続き2人目で中四国での出産例はなく、排卵障害があり治療の副作用の出やすい患者様に対して安全性の高い不妊治療を提供できることが期待されております。
※排卵誘発剤 とは
排卵障害や体外受精の患者に対して使用される2種類の薬剤。
まずFSH製剤(卵胞刺激ホルモン製剤)にて卵子を発育させ、引き続きHCG製剤(黄体化ホルモン製剤)で成熟した卵子を排卵させます。
HCG製剤をうった後で体質によってはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)と呼ばれる副作用が起こる場合あり、重篤な場合は生命に危険が及ぶこともございます。
これまで副作用のリスクが高い場合はHCG製剤を中止して治療を中断することもございます。