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2015年1月 |院長コラム |愛媛県 松山市 福井ウィメンズクリニック

院長コラム Column

2015年1月

近年の医療の進歩には、目覚ましいものがあります。

2012年10月iPS細胞を発見した山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。成熟細胞を若返らせることで得られるこのiPS細胞(induced=誘起された、pluripotent=多能性、 stem=あらゆるものに変化、cell=細胞)は、あらゆる細胞や組織に分化できる能力があり、再生医療の切り札として期待されています。既に網膜や血小板が作られ治療への応用も始まっています。生殖医療の分野においても研究が進められており、将来的には患者さんの皮膚細胞から卵子や精子を再生出来る日が来るかもしれません。

生殖に関わる移植医療の分野では、子宮移植が最近注目されています。癌や先天欠損により子宮がないために子供をあきらめなければならない患者さんにとって、福音になるかもしれません。また、卵子(未受精)凍結の実施準備も進められています。これにより、将来子供を希望する方が事前に卵をストックすることが可能になります。借り卵子や代理出産に関する法整備も進められています。

様々な可能性が見い出されていますが、倫理的・道徳的に解決すべき課題が残されていることもまた事実です。

一方、不妊治療の患者さんの高齢化が問題となっています。これに関連して加齢と体外受精の成績との関係が全国的に調査されました。その結果、妊娠が難しいとされる43才以上の方への助成金が中止されることになりました。

加齢は卵子に影響を及ぼします。現在、卵巣年齢が推定できるAMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定が可能となり、卵巣の予備能力に合わせた治療計画や排卵誘発の方法を選択する事が重要となっています。加齢による影響は卵子のみではなく子宮の胚の受容能力の低下や子宮内膜症・子宮筋腫の罹患率増加に及びます。凍結技術を用いた単一胚盤胞移植が盛んに行われている中、いかに着床しやすい環境を調整していくかが重要となってきます。そのためには個々の患者さんの状態にあわせ、内視鏡治療や免疫学的治療等を駆使した集学的ARTが必要な時代となっていると考えられます。当院でも開院以来内視鏡 治療を併用した不妊治療を行っており、ピシバニール療法やイントラリピッド療法等新しい着床障害の免疫療法にも積極的に取り組んでいます。

また、培養方法も進歩し、胚を培養器から出さずに観察するタイムラプスモニタリングシステムも開発され、当院でも導入しています。
女性側の要因だけでなく、男性不妊も問題があります。特に無精子症は深刻な問題です。当院でも従来のTESEに加え、わずかに作られている精巣内精子を取り出すMD-TESEの取り組みも開始しています。